恋口の切りかた
……ええと、どういう意味かな……?

恐る恐る首を動かして、自分の体を見下ろして、


薄紅色の生地に、花柄が目に入る。


私はいつの間にか、女物の着物に着替えさせられていた。


「んんん──っ!?」


悲鳴を上げて、一気に顔が熱くなるのを感じて──

恥ずかしさで、視界が滲んでぼやけた。


気を失っている間に、
男の人に着物を脱がされて、着替えさせられた。

そんなこと……円士郎にだってされたことないのに……。


「へェ? 女らしい反応もできるんじゃねェか」


私の頬から刀を除けて、霧夜が私の顎をつかんで顔を上に向けさせた。


前に隼人から言われたことの意味を、遅い後悔と共に噛みしめる。

刀を取り上げられて、体の自由を奪われて、
男の人と二人きりになるという恐怖を私は生まれて初めて味わった。


やだよ……怖いよ……

エン……


その名前が頭に浮かんだ途端、我慢できなくなって涙がこぼれ落ちた。


彼の役に立ちたかったのに。

勝手な行動をして、こんなことになるなんて──


エン……エン……
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