恋口の切りかた
「お前の友達にはかわいそうだが、村人の気持ちもわかる。
仕方がない、ありゃあ恐れられて当然だ」

「仕方がない!? 当然だ!?」


俺は声をあらげる。


「何が当然だ!
他の奴らはともかく、刀丸の親もだぞ!

刀丸がいなかったら死んでたかもしれねえんだ。それを──」


「そりゃ恐れるだろうよ」


親父殿は真面目な顔になって、俺の顔をのぞきこんだ。

俺は思わず、気圧(けお)されて黙った。




「笑っていたんだそうだ」




「え……?」





「村人によるとな、返り血を浴びて盗賊を斬り殺しながら、あの子供は──さも楽しそうに笑みを浮かべていたそうだ」


俺は言葉を失う。
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