恋口の切りかた
笑っていた……?



ま、儂らならそう聞いても大した度胸だ、って思うくらいだがな、と親父殿は肩をすくめた。


「彼らには──そして刀を持たぬ多くの者にも、こりゃあ理解できんだろう。

理解できないモノを、人ってのは恐れるもんだ」



平司と勝負した時、
そしていつも俺との勝負の時も、

刀丸は楽しそうに微笑んでいた。


そうか。

事件の夜、盗賊を斬ったときも──


刀丸は同じように笑っていたのか……。



親父殿は俺の目をのぞきこんで、心を読んだように


「儂には理解できる」

「他にも武芸の道を志す者なら、理解できるだろう」

「漣太郎、お前は特に──これはよく理解できるんじゃないのか?」


──と、続け様に言葉を放った。



無言の俺に首肯(しゅこう)の意を汲みとったのか、親父殿はニヤリと笑い、


「まあ、それで血のつながった親にまで恐れられて捨てられてるようじゃ、まだまだヒヨッコということだがな」


どこまでも容赦なく、

しかしどこまでも気楽な口調で、そう言って──


俺は何だか救われたような気分になった。
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