恋口の切りかた
「トウ丸とか言ったな」

「うん、おれはトウ丸。よろしくね」


なんか調子狂うやつだな。


「お前、ケンカ強いのか?」


目の前の相手はひょろっとして、とても強そうには見えない。


「へへ、どうかな」

トウ丸はボサボサの頭をかいて笑った。


「ゲンジロウには勝ったけど」

「源次郎に!?」


俺の目つきが変わる。


源次郎ってのは、同じ寺子屋に通う武士の子で、同い年の子供の間では一際体が大きい。

当然体格に見合う腕力もそなえていて、ケンカもそこそこ強い。


というか、ここらの子供の間では俺の次に強かった。
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