恋口の切りかた
「いや、やはり円士郎に任せるのは少し危険だな」

赤くなって悩んでいたら、虹庵がキッパリした口調でそんなことを言って、

「えっ……」


──危険!?

私は硬直した。


「うん、彼もまだ修めたばかりの未熟な状態だから、それで留玖に教えようとすれば怪我をする可能性があるからね。
縄抜けの修得というのも、正しく行わないと危ないんだ。……って、どうかしたかね?」

赤くなったまま固まっている私を見て、虹庵が不審そうに眉を寄せた。

「いえっ、なんでも……ないです」

私は大急ぎで首を振った。


な、なんだ……危険ってそういう意味だったんだ。

やだ。私ってば何を想像してたのかな。


うう、はずかしいよう……

やっぱり円士郎のことを好きだとはっきり自覚してから、色々変だ、私……。


私がほっぺたを押さえていたら、虹庵はしばらく思案した後、

「宗助から教えてもらいなさい」と言った。


「彼ならば、怪我に繋がりそうな事態になっても対処できるだろう」
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