恋口の切りかた
俺は完全停止していた思考をムリヤリ再開させようと試みる。


「刀丸……だってお前、いつも着てた着物は……?」

「あれは、兄弟のお下がりだから」

「……髪は……?」

「いつも結うの面倒で、一つに束ねてたの」

「…………」






──はッ!?
いかん、再び思考停止しちまった!



いやいやいやいや、落ち着いて考えろ俺。

刀丸が女なら──

──なんでそもそも、俺は刀丸が男だと思ってたんだ?



着物や髪型なんかはよりもっと大きな理由が──

──あった。



「名前だ!」
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