恋口の切りかた
俺は悲鳴に近い声でさけんだ。
「おまえ、女なら──なんで『トウマル』なんて男みたいな名前なんだよ!?」
この俺の魂のさけびに対して、
刀丸が返してきた答えは──
「お父がね、トメとかタエって名前はもうねえちゃんたちに使っちまったから、おまえはトウマルだ、って」
──俺にはよくわからないものだった。
「そうか。トウマルと言う名は、『トマル』か」
こちらもようやく思考停止から復活したのか、親父殿がそんなことを言った。
「……トマル?」
「止まる。『止め』『絶え』と同じで、もう子供を授からないように、という意味だろう」
俺はまた別の種類の衝撃を受けて絶句した。
以前、刀丸がしていた話を思い出す。
貧しい農民の家では子供を育てきれなくて売る──
刀丸の前にすでにトメやタエという名前の姉がいる。
つまり俺が何も考えずに呼んでいた刀丸の名は……
「おまえ、女なら──なんで『トウマル』なんて男みたいな名前なんだよ!?」
この俺の魂のさけびに対して、
刀丸が返してきた答えは──
「お父がね、トメとかタエって名前はもうねえちゃんたちに使っちまったから、おまえはトウマルだ、って」
──俺にはよくわからないものだった。
「そうか。トウマルと言う名は、『トマル』か」
こちらもようやく思考停止から復活したのか、親父殿がそんなことを言った。
「……トマル?」
「止まる。『止め』『絶え』と同じで、もう子供を授からないように、という意味だろう」
俺はまた別の種類の衝撃を受けて絶句した。
以前、刀丸がしていた話を思い出す。
貧しい農民の家では子供を育てきれなくて売る──
刀丸の前にすでにトメやタエという名前の姉がいる。
つまり俺が何も考えずに呼んでいた刀丸の名は……