恋口の切りかた
「エンが……エンが死んじゃったら、私も死ぬから」

俺にすがりついたまま、留玖は泣きじゃくった。

「エンと一緒に私も死ぬよ……!」

「な……なに言ってるんだ、留玖……」


俺は少女の頬に手を伸ばして、


ぎゅっと、留玖が俺の手を両手で包み込んで握った。


「エンのことが……好きなの……」

「え……?」

「私も、エンが好き……大好きだよ」


毒のせいで都合のいい幻聴でも聞こえたのかと思う俺に、留玖は再びすがりついた。


「ごめんなさい、ごめんなさい……!

私なんて、結城家に拾ってもらっただけで感謝しなくちゃいけない農民の子なのに……

こんな大それた思いなんて、抱いちゃいけないってわかってたのに──」


え……?


ぼう然とする俺に、

留玖は震える声で、
それでもはっきりと言った。
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