恋口の切りかた
だから──


死なないで、エン

これからもずっと一緒にいたいよ……

離れたくないよ……


もう二度と、

大事なものがどこかに行っちゃうあんな思いはしたくないよ──



そう言って泣き続ける少女を、俺は無我夢中で抱き締めた。

「本当か……? 留玖、本当にお前、俺のこと──」

「本当だよ」

力の入らない腕の中で、留玖が頷いて、

「は。やっぱり夢かよ……」

俺は笑った。

夢でもいいと思った。
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