恋口の切りかた
午後から風佳が遊びに来ていて、

私たちは女中のおひさと三人で縁側に座って、お喋りをしたりして楽しく過ごしていたのだけれど──


途中で、私が厠に行って、戻ってきたら


縁側に座った二人の何だか深刻そうな話し声がボソボソと聞こえてきた。


「……おつるぎ様には黙っておいたほうがいいです」

おひさがそんな風に言うのが耳に入って、

「でも……」

何事か言いかける風佳に、

「おつるぎ様は反対するに決まっていますよ」

おひさがそう返して──



なんの話だろう?



首を傾げながら、私は座っている二人にとことこと後ろから歩み寄って、


「ちゃんと二包み使ってくださいよ」

そんなことを言いながら、


おひさが懐から、赤い小さな紙包みのようなものを二つ出して


風佳に渡すのが見えた。


風佳がそれを袂にしまって──


「なあに、それ?」

私が二人の背中に向かって声をかけると、びくっと肩を震わせて、弾かれたような動きでおひさと風佳が振り返った。

「な……何でもありません」

そう言う風佳の顔は蒼白で、
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