恋口の切りかた
「留玖は、どうしたいんだ?」

「え……」

「俺と、どうなりたい?」


どきん、と胸が震えて、円士郎の顔を見上げたら、

屈み込んで私を見つめる優しい円士郎の瞳とぶつかった。


「これ──」


円士郎は部屋の中に畳んで置かれていた、私のあげた着物を示した。


「──くれた時に、留玖、確かに俺に言ったよな?」


彼が何を言っているのかわかって……頬が熱を帯びた。

思わず視線を逸らして顔を横に向けたら、
円士郎が腕をつかんで、座り込んだままの私をもう一度抱き締めた。


「あの時にお前、俺になんて言った?」


ちょっといたずらっぽくて熱っぽい声が、暗闇の中で私の耳をくすぐった。


「もう一度、ちゃんと言ってみろよ」

「そ……そんなの……」


口ごもる私の耳に、柔らかい唇が触れて、





「惚れてんだろ? 俺に」





理性をどこかに持っていかれそうな甘い囁きが、逃げ場を奪って入り込んできた。





「だったら、俺とどうなりたいんだ?」




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