恋口の切りかた
ただ、耳元でこうして声を聞くだけで、私の心臓は大騒ぎをして、私の心は何もかも忘れてしまいそうになる。


円士郎とどうなりたい?


そんな……そんなの……


「……どうしてそんなこと、聞くの?」


気がついたら、のぼせたままのほっぺたをしずくが滑り落ちていった。


「そんなの──私が言ったからって、どうなるの?」


「留玖……?」


円士郎が少し身を離して、腕の中の私の顔を覗き込もうとした。

私はその視線から逃げるように顔を伏せて、


「ひどいよ、エン……!

どうして私のこと、そうやって苦しめるのっ?」


両手を拳にして円士郎の胸を叩いた。


「好きだよ……! エンのことが好き……!

小さい頃からずっと、一緒だったんだもん!
他の人になんて絶対に負けないくらい、私が一番、エンのことが好き──」


私は円士郎の背中に手を回して、泣きながら力一杯彼に抱きついた。
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