恋口の切りかた
──どうなってる?


他の者も皆、事の成り行きを傍観しているだけで、新参者の見習いである清十郎の言葉に対して異を唱える者はいない。


まさか──この場にいる評定役の全員が、グルなのか?

清十郎は既に、そこまで手を回していたということか──?


孤立している青文を見て
俺は愕然としながら、嫌な予感が的中したことを悟った。


素直に認める気じゃねえだろうな……!

俺は本気で心配したが、

「皆様、そのような戯れ言を信じるのではないでしょうな」

そう返した覆面家老にとりあえずホッとした。

「戯れ言?」

清十郎は氷のように笑って、

「そう仰るならば、その覆面の下、今この場で見せて身の潔白を示していただきたい」


──やはりそう来たか、と思うセリフを口にした。


「おう、それが宜しかろう、伊羽殿」

菊田のオッサンが白々しい口調で言った。

「ささ、その覆面をとって、すぐに妙な疑いなど晴らされよ」


どうするんだ、青文──!?


俺は嫌な汗が滲むのを感じながら、覆面に隠れた青文の顔を見つめた。
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