恋口の切りかた
年は私たちと同じくらいだろうか。
錦糸の美しい赤い着物を着て、見るからに育ちの良さそうな少女だ。

これは──ひょっとすると……。


「女だからって、もうカンベンならねェ!」


──って、ちょっとレンちゃん!?


目に涙をいっぱいためている可憐(かれん)な少女に向かって
いきなり木刀を打ち下ろした漣太郎を見て、

私はとっさに間に割って入った。


ガン、と──屋敷から持ってきた木刀で剣撃を受け、

すぐさま二撃目で
漣太郎の木刀をはじき飛ばす。

「──あ?」

突然の介入(かいにゅう)にポカンとなる漣太郎を、

「何やってるの、ばかっ!」

袈裟懸けに木刀でぶんなぐった。


「ほぐぅッ!?」

とか、まぬけな声を出してうずくまる漣太郎。


はじき飛ばした木刀が

ひゅるるん、と回転しながら落ちてきて
近くに積まれた俵(たわら)につき刺さった。
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