恋口の切りかた
「こいつァお見事!」

「さすがで!」

子分さんたちが歓声を上げる。


「て……てめェらなんで」

路地裏に集まった面々を、涙目で見上げる漣太郎に
平司は軽蔑(けいべつ)の目を向けた。

「見そこないましたよ、兄上。女子供に狼藉(ろうぜき)を働くとは武士の風上にも置けません!」

「何だと!? そりゃこのアマがだなァ! ──っ痛ててて……」


びくうっと肩を震わせて泣きそうになる女の子の頭を、私はよしよしとなでた。

昔、家族がしてくれたように。
先日、漣太郎がしてくれたように。


「大丈夫だった? けがはない?」

「こ……怖ぅございました」


鈴が鳴るようなかわいらしい声でそう言って、
女の子は、ひしっと私にしがみついた。

なァーご、と少女の腕の中で三毛猫が鳴く。
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