恋口の切りかた
でも、大好きなのに。

私がこんなに大好きなのは、円士郎だけなのに。

円士郎にも、私のことだけ好きでいてほしい、って思うのは駄目なの?


ちゃぽん。

ちゃぽん。

次から次に、私は石ころを川に投げて、


「エンのばかっ」


我慢できなくて、大きな石を思いきり投げ込んだら冷たいしぶきが顔にかかった。


「ばかぁっ、ばかばか!」


何だか止まらなくなって、
だっぱん、だっぱんと、そこら中の石を持ち上げては川に投げ入れた。


わかってるもん!


円士郎は私のものじゃない。


私は──円士郎のものなのに。


彼の行動を束縛したりすることなんて、私にはできない。


わかってても──

苦しいよぉ、エン……
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