恋口の切りかた
円士郎が裂帛の気合いと共に打ち込んでくる。

それをさばく。

するすると木刀同士を滑らせて彼の体勢を崩して、木刀をはね上げて、

横薙ぎに叩きつけるような一撃を叩き込む。

しかし即座に反応した彼が、木刀の柄の部分でそれを受けて、


再び反撃に転じ、激烈な打ち込みをしてくる。


──強い。


迷いがなく、手加減もない。


しばし打ち合って──


──エン、こんなに強かったんだ……。


久々に味わう本気の円士郎の剣に、私は衝撃を受けた。


これまでずっと、彼が手加減をしてくれていたのだということがよくわかった。


今日の円士郎は、

まるで自分を追い込んでいるかのように、
何かを吹っ切ろうとするかのように、
どこか命がけのような必死さのある剣を振るって──


そこからは、遠慮やためらいが消えていた。


ああ、

この剣だ……。


私を昂揚させ、

競い合う楽しさを教えてくれて、

いつも高みへと導き続けてくれたのは。


ずっと、

いつまでも、

こうして打ち合っていられたら、いいのに──
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