恋口の切りかた
「ほほう、そりゃ居合いに似た動きだな」
俺の話を聞いた親父殿は、そう言ってヒゲの生えたアゴをごりごりとこすった。
「しかし、滅茶苦茶な試合とは言え大人を負かしたお前が、まさか子供相手に剣術勝負で負けるとはなー」
「うぐっ」
「世間は広いもんだ。どこの家のご子息だ? 流派は何だろうな」
「の……農民の子供です」
屈辱ににぎりしめた両手を震わせながら、俺はあのへらへらしたにくたらしい笑顔を思い出した。
「同じ寺子屋に通っている子供で、剣術は……っ! 特に習ったことはないと申しておりました……!」