恋口の切りかた


しゃらん、と風佳が動くと髪飾りが揺れる。

立ち姿も振る舞いも、風佳は自分と違って何もかもが美しくてかわいらしかった。


私がそんなことを考えていたら、

「全く、兄上ときたら──こんなにおきれいな風佳殿に、あんな無礼な物言いをなさるとは!」

平司もそう言って憤(いきどお)った。


やっぱり……


男の子なら誰でも、風佳みたいな子をかわいいって思うんだろうな。


「まあ、平司様」

平司の言葉に頬をぽっと赤く染めて、風佳はようやく愛らしい微笑みを見せた。

「嬉しい……」

そんな反応すらも全てが、私にはきれいで輝いて見えて──


──なぜだか暗い気持ちになる。


自分でもわけがわからなかった。

風佳を見て、どうして私が
こんながっかりしたような、嫌な気持ちになるんだろう……。


一方、平司はなにやらあわてた様子を見せた。


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