恋口の切りかた
胸を突かれた。
淡々と語る初姫様は苦しそうな目をしていて、
けれどその眼差しからは、秘めた強さのようなものが伝わってきた。
「だからわらわは、義妹としてできる限り殿の支えになろうと思っておる。
いくらこの体を嘆こうと──仕方のないことだからな」
これが生粋の武家の姫君の強さなのだろうか。
「初姫様は、お慕いする方の身分が……高くなければと思ったことはないのですか?」
問わずにはいられなかった私のこの質問には、
「ない」
きっぱりとした迷いのない答えが返ってきた。
「ふふ。確かに、子が産めぬ体でも家臣の妻にならばなれるかもしれぬな。
しかし、この国を治める方を心からお慕いするようになったことは──わらわの誇りじゃ」
惚れる相手を選べたら楽なのに──
昨晩、殿の口から放たれたその言葉とは真逆の内容だった。
衝撃を受けて立ち尽くす私に、「それに」と初姫様は悲しそうにつけ加えた。
「わらわは──ただ子が産めぬというだけではなくての……どのみち、この忌まわしい体では家臣の妻にもなれぬ」
初姫様はそれ以上は何も語らず、
私も尋ねてはいけないことのような気がして、詳しくは訊かなかったけれど、
やはり何かご病気を抱えてらっしゃるという口振りだった。
淡々と語る初姫様は苦しそうな目をしていて、
けれどその眼差しからは、秘めた強さのようなものが伝わってきた。
「だからわらわは、義妹としてできる限り殿の支えになろうと思っておる。
いくらこの体を嘆こうと──仕方のないことだからな」
これが生粋の武家の姫君の強さなのだろうか。
「初姫様は、お慕いする方の身分が……高くなければと思ったことはないのですか?」
問わずにはいられなかった私のこの質問には、
「ない」
きっぱりとした迷いのない答えが返ってきた。
「ふふ。確かに、子が産めぬ体でも家臣の妻にならばなれるかもしれぬな。
しかし、この国を治める方を心からお慕いするようになったことは──わらわの誇りじゃ」
惚れる相手を選べたら楽なのに──
昨晩、殿の口から放たれたその言葉とは真逆の内容だった。
衝撃を受けて立ち尽くす私に、「それに」と初姫様は悲しそうにつけ加えた。
「わらわは──ただ子が産めぬというだけではなくての……どのみち、この忌まわしい体では家臣の妻にもなれぬ」
初姫様はそれ以上は何も語らず、
私も尋ねてはいけないことのような気がして、詳しくは訊かなかったけれど、
やはり何かご病気を抱えてらっしゃるという口振りだった。