恋口の切りかた
私は打ちのめされて、


かんざしを抱きしめて、

声もなく泣き崩れた。





もう一度、会いたいよ。



今なら、言えるのに。

ずっと、たった一つの望みだった。



エンのお嫁さんになりたかった。



「エンに会いたいよぉ──」



でも、時は戻らない。


銀の桜を胸に抱いて、私は一人で泣き続けた。
< 1,930 / 2,446 >

この作品をシェア

pagetop