恋口の切りかた
足下を睨んで、自嘲する。


「は。そいつは──見くびられたもんだな、俺も」

「待ってくれ」


俺が吐き捨てて背を向けると、左馬允は焦った声を出した。


「円士郎を怒らせてしまったなら謝るよ。
だが俺は、こんな形でお前たちの仲を引き裂いたことを悔やんでいるんだ」

「……怒ってはねェよ」


左馬允を振り返って、そこにあった困った顔に、俺は力無く笑った。


「あんたの心遣いには感謝する。格別のはからいってヤツなんだろうと思うさ」

「だったら、留玖と会ってやってくれ。
彼女は……お前を思って泣いているんだぞ!」

「────」


俺は胸をえぐられるような気分で、振り切るようにもう一度左馬允に背を向けた。


「……駄目だ」
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