恋口の切りかた
──ええ?
それはちょっと予想外の理由だ。
男の着物のほうがカッコイイとか……そういう理由じゃあないのかよ。
留玖の声音は、なんだかすねているように聞こえた。
「似合わねえ……かな?」
「似合わないよっ!」
俺の言葉にも留玖はムキになって言い返す。
俺は、初めて留玖の小袖(こそで)姿を見た時のことを思い出した。
うーん、そうかァ──?
「オレは、そんなに悪かねーと思ったけどな……」
「…………」
と言うか、あの時は素直にかわいいと思ったものだが──。
しばしの沈黙のあと、
「……大河様のお嬢様は──」
壁の向こうからは、消え入りそうな声が返ってきた。
「風佳様は……もっと、ずっときれいだった……」
それはちょっと予想外の理由だ。
男の着物のほうがカッコイイとか……そういう理由じゃあないのかよ。
留玖の声音は、なんだかすねているように聞こえた。
「似合わねえ……かな?」
「似合わないよっ!」
俺の言葉にも留玖はムキになって言い返す。
俺は、初めて留玖の小袖(こそで)姿を見た時のことを思い出した。
うーん、そうかァ──?
「オレは、そんなに悪かねーと思ったけどな……」
「…………」
と言うか、あの時は素直にかわいいと思ったものだが──。
しばしの沈黙のあと、
「……大河様のお嬢様は──」
壁の向こうからは、消え入りそうな声が返ってきた。
「風佳様は……もっと、ずっときれいだった……」