恋口の切りかた
そんな──!

私は唇を噛んで、


「いえ、それが当然です」

と、父上は頷いた。


「つまり証拠は残されたこの刀のみ。
しかもあの馬鹿は、殿への謀反をほのめかしておったとか」

「確かに、私も円士郎の口からそのような言葉を聞いたが……」


父上と殿がそんな話をして、私は泣きそうになった。


「嘘……! 嘘です……! そんなの」

「もちろん、あんなのはただの戯れ言じゃ。そんなことは私もわかっておる」

私の表情を見た殿は、慌ててそう言い添えてくれたけれど、


「だが、他の者の証言もある」


父上は重たい口調で言って溜息を吐いた。


「曲者の正体は円士郎で決まりだな」


私はがくがく震えた。


「円士郎は……円士郎はどうなるのですか……?」


答えは返ってこなかった。


「とにかく本人から話を聞きたい」

殿はそう言って、円士郎が城に呼び出されることが決まって──
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