恋口の切りかた
あの翌日、

復讐に燃えて「トウ丸」という名前の子供を探し回る気だった俺は、

寺子屋であっさりと再会を果たした。



俺の親父殿は変わっていて、武家の子供である俺を他の身分の子供と同じ寺子屋に通わせていて、

城下では他家の子供もそれにならって皆、家での学問以外に寺子屋にも通っていた。


俺が往復しているのは普段、城下の町と、近くにある農村のちょうど中間地点の辺りにある寺子屋だ。

そこでは武家や商家の子供と村の農民の子供とを分けへだてることなく手習いやら何やら学問を教えていて、

まあその帰り道、

俺も分けへだてなくそこに通う子供をいじめて回っていたのだが……。


これまで全く知らなかっただけで、

トウ丸は俺と同じ寺子屋に通う子供だった。



帰る方向が逆なので、必然的に村の農民の子供は俺の標的になることが少なかったらしい。

ちょくちょく村まで遠征もしていたのだが、もちろんこれまで出会わなかった子供もいて、やつもそんな中の一人だった、というワケだ。
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