恋口の切りかた
「じゃあ……じゃあ、さ……」

留玖はなぜか必死な様子で言った。

「好きな人とは一緒になれないの?」



好きな人と、一緒に──



ふわり、と白粉(おしろい)のにおいがしたような気がした。

あでやかな微笑を浮かべる女の白面が、
脳裏をよぎる。



「──いや、そんなことはねェな」


俺は、年の離れた腹違いの弟の母親を思い浮かべる。


「好きな相手なら、妾にするって手がある」

「……め……かけ──?」
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