恋口の切りかた
「いいのかよ。そんなもの、鬼之介に作らせて使っても」

「問題ない。あれは化け物の仕業に見せかけることもできるが──堂々と人目に付く状態で使えば、誰も竹林の化け物とは結びつけない」

青文はそんなことを言って、

俺は苦笑する。

「今はあんたが味方で、つくづく頼もしいと思うぜ」

「あまりあてにされても困るけどな」

青文は肩をすくめて、ふうっと大きく息を吐き出した。


「共謀相手の『真意すら確かめず』、『連絡もなしで共謀する』のは、俺も初めてだ」


青文の口にした共謀相手というのが誰のことなのか──


この時の意味不明なセリフの意味を俺が知ったのは、



日差しが和らぎ、暦が九月に入ってからのことだった。
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