恋口の切りかた
九、反撃~十一年の誤算
【剣】
その日は、
殿が城を出て、よりによって清十郎をお供に連れて法会のために砂倉家の菩提寺に行くことになっていて、
嫌な予感がした私は、一緒に連れて行ってほしいと頼んだ。
私しかいないんだ……
私がしっかりしなくちゃ……!
頭の中にはそんな考えばかりがグルグル回って、
「本当なら、父上も同行する予定だったんでしょう?
父上ほど頼りにはなりませんけれど、私も護衛のお役に立てます」
何も知らない殿は大丈夫だと笑っていたけれど、私はそう言って頼み込んで、
「それで留玖の気が済むのなら」と殿は苦笑して、
私は男装した姿で帯剣して同行することを許してもらった。
何事もなく法会が済んで、
菩提寺を後にして、
異変が起きたのは城への帰り道だった。