恋口の切りかた
「それがな……」

彼はその「二連式六雷神機」とやらを持った両腕を、しびれをとるように振って見せた。


「威力を引き上げるために火薬の量を目一杯増やしたせいで、一発撃つたびに物凄い衝撃が腕にくる(*)のだ。

最初に撃った時は肩が外れた」


「なに……?」


俺は先刻の凄い音を思い出した。


「衝撃を殺すように鉄砲の構造と構え方を工夫して、更に甲冑の腕の部分にも改良をほどこして、ようやくまともに撃てるようになったが……

それでも、十二連射するとしばらく手が動かなくなる。

素手で扱えるシロモノではないぞ」


相変わらずこいつは、人体に優しくない発明品を生み出しているらしい。



(*火薬の量を目一杯増やした~:前頁の説明から、鉛むき出しの当時の弾丸に対して弾頭が凹んだ構造のコーティングをほどこしてある様子なので、現代で言えばホローポイント弾を使用したオートのマグナム。その江戸時代バージョンとお考え下さい)
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