恋口の切りかた
「奇遇ねェ」
と、薙刀使いの殺し屋が言った。
「私のこの薙刀も、無銘だけれど号は『桃花白石』と言うのよ」
女の人も「トウカビャクセキ」というらしいその薙刀を構え直して、
「赤い花と桃の花……面白い偶然だこと」
優美に微笑み、薙刀を振りかざして一気に青文との間合いを詰める。
黒い袖がひるがえり、うなりを上げてぎらつく刃が振り下ろされて──
ガッチリと、青文が十文字の刃で薙刀を絡め取り、横にさばいた。
合わさった刃を支点にして大きく体の位置を変え、槍の柄のほうで突くようにして相手の懐に入り込む。
が、女の人は素早く後ろに飛び退いて、間合いを取っていた。
「加点だわ。十文字槍の特性ね、動きの幅が広がる」
手応えのある獲物を見つけた獣の目で、女殺し屋が嬉しそうに言った。
手にしたばかりの十文字槍を見事に使いこなして見せた金髪の御家老は、どきっとするような目で黒い着物の美人を流し見て、
「どうせなら二人きりで楽しみたいね」
と、横で聞いている私が思わず赤くなるような甘い声で言った。
「おや、そのコを見逃せって言ってるのかしら?」
女の人は涼しい顔のままで私にチラと視線を送った。
「俺一人じゃ駄目かい? これでも、満足させる自信はあるんだがな」
雨に濡れて頬に貼りついた髪をどこか色っぽい仕草でかき上げて、青文が魔性めいた微笑を作った。
くすくす、と女の人も負けず劣らない妖艶な目で笑った。
「その言葉、期待はずれだった時は減点よ」
と、薙刀使いの殺し屋が言った。
「私のこの薙刀も、無銘だけれど号は『桃花白石』と言うのよ」
女の人も「トウカビャクセキ」というらしいその薙刀を構え直して、
「赤い花と桃の花……面白い偶然だこと」
優美に微笑み、薙刀を振りかざして一気に青文との間合いを詰める。
黒い袖がひるがえり、うなりを上げてぎらつく刃が振り下ろされて──
ガッチリと、青文が十文字の刃で薙刀を絡め取り、横にさばいた。
合わさった刃を支点にして大きく体の位置を変え、槍の柄のほうで突くようにして相手の懐に入り込む。
が、女の人は素早く後ろに飛び退いて、間合いを取っていた。
「加点だわ。十文字槍の特性ね、動きの幅が広がる」
手応えのある獲物を見つけた獣の目で、女殺し屋が嬉しそうに言った。
手にしたばかりの十文字槍を見事に使いこなして見せた金髪の御家老は、どきっとするような目で黒い着物の美人を流し見て、
「どうせなら二人きりで楽しみたいね」
と、横で聞いている私が思わず赤くなるような甘い声で言った。
「おや、そのコを見逃せって言ってるのかしら?」
女の人は涼しい顔のままで私にチラと視線を送った。
「俺一人じゃ駄目かい? これでも、満足させる自信はあるんだがな」
雨に濡れて頬に貼りついた髪をどこか色っぽい仕草でかき上げて、青文が魔性めいた微笑を作った。
くすくす、と女の人も負けず劣らない妖艶な目で笑った。
「その言葉、期待はずれだった時は減点よ」