恋口の切りかた



「円士郎に近づかないで──っ!」


私は無我夢中で帯刀の前に飛び出して──



──帯刀が目を丸くして立ち止まる。



私は抜き放った刀で、帯刀が手にした長刀を弾き飛ばしていた。



回転しながら空を舞って、刀が庭に落ちて大地に突き刺さった。



私は自分の行動に、自分でも驚いて──



「留玖様」

背中からとても優しい声がして、肩がびくっと震えた。
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