恋口の切りかた
「留玖、お前──」

口を開いたが言葉にならず、何を言おうとしたのかわからなくなった。

腕の中から俺を見上げてくる大きな瞳を見つめて、



──馬鹿だな、俺は……。



己がたった今やらかした、とんでもない失敗に気づいた。



俺のことを身を挺して庇った留玖を目の当たりにして、

何も考えられず、ただひたすらに彼女を守ろうとした。


留玖をこの腕に抱きかかえて、

彼女の温もりを、再びこの胸に感じてしまった。



こんなことをしてしまえば──
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