恋口の切りかた
「留玖、俺のそばにいるか……?」


少女の耳元に囁いた。


「俺と一緒に、来るか──?」


俺を抱きしめる細い腕の力が強くなって、


「うん……」


留玖の頭が動いて頷いた。


「エンのそばにいる……エンと、行く」


鈴が震えるようなその声を聞きながら、



俺の中で、

これまで抱いていたものとは違う、新たな決意が固まっていった。



濡れた土の上に転がっていた刀を右手に握りしめて、

俺は痛めた左手で留玖の肩を抱いたまま、その場に立ち上がった。
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