恋口の切りかた
五、花の果て
【剣】
暗闇の中に背中が見える。
愛しい人の背中だ。
私は声を出して呼ぼうとするのだけれど、何も発することが出来なくて──
追いかけようとする足はもつれて、
大好きな人は、私を闇の中に残して、一人で行ってしまう。
いや……
やだよ……!
もう、私を一人にしないでよ──
置いていかないでよ──
私は必死に手を伸ばして……──
「留玖……! 留玖、しっかりしろ!」
肩を揺すぶられ、
そんな風に呼びかけられて、
私は目が覚めて、布団の中で瞼を開けた。