恋口の切りかた
「結城円士郎殿とお見受け致す」
海野喜左衛門は円士郎に頭を下げた。
「儂の不覚により、此度のこと──大変なご苦労をおかけ致した」
そう言って、老人は夜叉之助に視線を戻して声を震わせた。
「事情を聞けば、やむを得ん末路とは言え……哀れだのう……」
元家老は再び鼻声になった。
「申し訳ない、円士郎殿。
養子として迎えてより今日まで、こやつは儂にはよく尽くしてくれたのでな……儂も、本当の息子ができたような心持ちでおったので、つい……」
夜叉之助の骸を見下ろして、老人は目を赤くしてそんなことを語った。
「彼は……義理の父上である海野様には、優しく接していたのですか……!?」
冬馬が衝撃を受けたように、部屋の中から思わずといった様子で声を上げた。
「うむ」と海野喜左衛門が涙ぐんだまま頷いて、
「そうですか……」
冬馬は静かに呟いて、横たわる実の兄をじっと見つめた。
海野喜左衛門は円士郎に頭を下げた。
「儂の不覚により、此度のこと──大変なご苦労をおかけ致した」
そう言って、老人は夜叉之助に視線を戻して声を震わせた。
「事情を聞けば、やむを得ん末路とは言え……哀れだのう……」
元家老は再び鼻声になった。
「申し訳ない、円士郎殿。
養子として迎えてより今日まで、こやつは儂にはよく尽くしてくれたのでな……儂も、本当の息子ができたような心持ちでおったので、つい……」
夜叉之助の骸を見下ろして、老人は目を赤くしてそんなことを語った。
「彼は……義理の父上である海野様には、優しく接していたのですか……!?」
冬馬が衝撃を受けたように、部屋の中から思わずといった様子で声を上げた。
「うむ」と海野喜左衛門が涙ぐんだまま頷いて、
「そうですか……」
冬馬は静かに呟いて、横たわる実の兄をじっと見つめた。