恋口の切りかた
「そうか……」

その憎たらしい笑みを憮然としながら眺めて、
俺にも、ようやく青文や藤岡たちの頭の中が見えた気がした。

「そういうことかよ……!」


夜叉之助をも利用して、藤岡たちが今回やろうとしていたことは──


「テメエ、この俺を試しやがったな!?」


以前、藤岡たちが税を吊り上げ、登城した時の会話が脳裏を過ぎる。

ようやくあの時の言葉の意味が全て理解できた。


こいつら、俺を陥れて──

俺がどう動くのかを見て、


「俺が主君たる器かどうか、見極めようとしたのか──」


なんて真似をしてくれやがる……。


青文の言うとおり、
確かに夜叉之助たちよりもこいつらのほうが遙かに──食わせ物だ。
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