恋口の切りかた
「秋山が切腹を命じられて──気づきました。

この国を本気で転覆させたいのならば、十一年前の真相に近づきつつあった秋山を生かしておいたほうが都合が良い。

だが、秋山を消そうとしたということは──十一年前の真相を夜叉之助は知らない。

この国の秘密を漏らさなかったあなた方は、殿やこの国を裏切ってはいないのだとね。

ですから事を起こせば、必ずお味方下さると信じておりましたが──」


ふふっと、青文は覆面の下で笑った。


「それでも確かめる術はなく、話を打ち合わせることもできぬ味方の考えや行動までを読むのは骨が折れました」


そうか──。


「青文、前にお前が言ってた『共謀者』ってのは、藤岡たちのことだったのかよ」


様々な謎が、やっと解けた。


「つまり──青文、てめえもか」


こいつらにとってこの事件は、俺を試すための「共謀」だったということか。
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