恋口の切りかた
「さて、円士郎様のことだ。
あれほどに釘を差しておいたというのに──秋山たちにもこの国の秘密を話しましたね?」

青文がまたまたお見通しの様子でそう言って、

「ほう、それはどうするかのォ──」

藤岡が隼人たちを見て皺の刻まれた目元を鋭くした。


げえっ!? と受難続きの隼人が声を上げた。


俺は笑って、

「そいつらは、家中が賊に仕切られても最後まで己を見失わず、この国や殿、俺のために動いてくれた真の忠臣だ。

こいつらの口から秘密が漏れることは断じてないだろう」

と、口調を改めて言った。


「神掛けて、他言致しません!」

隼人が悲鳴に近い声で叫んで頭を地面に擦りつけて、


「良かろう。その言葉、信じよう」


藤岡が頷いて、ほっほと肩を揺らした。


「おお、そうじゃったそうじゃった、秋山家の家名存続も再び認めてやらねばの」


これも青文の筋書きだったのかどうなのか──

どうやら事は全て丸く収まりそうだった。
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