恋口の切りかた
私は彼を待ち続けて──

年が変わって、

風の匂いも変わって、

また私の一番好きな花の季節が巡ってきて、


もうすぐ円士郎は、参勤交代で江戸に発つのだという話が伝わってきた。


そうなれば、彼は一年は江戸で会えない。


私は円士郎に会いたくて、会いたくて、

寂しくて、寂しくて、


このままだと寂しさで死んでしまうんじゃないかなと思った頃、

お城から私宛ての文が届いた。
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