恋口の切りかた
なんでなのか──
自分でもよくわからないけど──


いやだった。



だって、



そうだ。

だって、二人ともいやがってたじゃない。


おかしいよ、好きでもない人と……



「留玖殿は、誰か好いたお人がありんすか」

「えっ」


私はあわてた。


「そっ……そんなわけじゃ……ないんですけど」


顔が熱くなった。

私を見て、りつ様が「かわいいのぅ」と言って、ころころと笑った。



うう……たぶん、こんな暗がりでもわかるくらい、真っ赤になってたんだろうなぁ。
< 238 / 2,446 >

この作品をシェア

pagetop