恋口の切りかた
七、君がくれた最後の日
【剣】
以前、奥に上がった時にそうだったからわかっていたけれど、
正室と違って、
側室としてお城に上がる時には当然、祝言なんてものはなくて、
私は白無垢にも袖を通さず、三三九度もなしで、ただ奥御殿に迎え入れられた。
それが普通で、
当たり前で、
大名家でも他の上級の武家でも、それは同じだった。
けれど──
円士郎は、私を奥へ召し上げる日、
正室を娶る時のように、
夜、形だけの祝言を上げてくれた。