恋口の切りかた
「これでやっと、俺のものにできる──」


長かった──


彼女と過ごした歳月を振り返って、

それから俺の胸の中で、ずっと抱き続けた後悔の念が頭をもたげた。


これでやっと、彼女を幸せにできる──

俺のせいで全てを失った彼女を、幸せにしてやれる──




「留玖……ごめんな」

抱きしめた彼女に謝った。


自分でも声が震えるのがわかった。


「俺はずっと、お前に謝りたかった」


「え……?」


俺の胸で、留玖が不思議そうな声を出した。
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