恋口の切りかた
「エン──?」

留玖が驚いたような声を上げた。


「俺はお前を側室にしたけどよ、俺はそう思ってねえからな。

お前は俺の妻で、俺はお前の夫だ。

この先ずっと──死ぬまで、俺たちは夫婦だから」


すべすべした柔らかい髪を何度も何度もなでる。


「絶対に幸せにするからな──」


「エン……」


留玖が声を震わせて、俺の腕の中で泣いているような声を出した。



「嬉しい、エン」


しばしの後、留玖はそっと俺の胸を押して、

涙に濡れた瞳で俺の顔を見上げてそう言った。


「エンが……私のこと妻だって言ってくれて──

夫婦だって言ってくれて──

花嫁衣装を着て、エンのお嫁さんにしてくれて──

私、望みが叶ったよ?」


留玖は大きな瞳いっぱいに涙を溜めて、微笑んで、

俺を抱きしめた。
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