恋口の切りかた
「お願いだよ、エン。

そんな風に自分を責めないでよ」


留玖はまたすすり泣いているような声で肩を震わせた。


「エンが……エンが、家族を失った私のことを、自分のせいだって考えていたなんて私、全然知らなかったよ!」


留玖は衝撃を受けた様子で言って、


「エンのせいじゃないよ。

エンと出会ってなかったら──

剣術と出会ってなかったら──

私はあの七年前の冬の晩、家に押し入っていた盗賊に斬られて死んでたよ」


俺の寝間着をぎゅっとつかんで、彼女は必死に俺にそう伝えた。


「エンと出会って、剣術を知っていたから──私は生き延びることができたんだよ?

家族や村人の命も救うことができたんだよ?

私が今こうやって生きていられるのは、
エンのお嫁さんになれたのは、

エンが私に剣術を教えてくれていたからだよ──!」
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