恋口の切りかた
言うなり、円士郎の手が私の体の下へと滑り落ちて、


彼の唇と熱い吐息が私の肌をくすぐって、


私はぎゅっと目を閉じて、我慢しようとしたけれど、


「やあんっ」


やっぱり我慢できなくて、声を上げてしまって、


「留玖……かわいい」


円士郎が囁くたび、息が苦しくなって、


円士郎が触れるたび、体が反応して、


「──っあ……」


短くなる呼吸と一緒に声が漏れて──


自分が自分じゃなくなっていくみたいで、怖い。


でも、結城家にいた時にも私は円士郎にこうされて、

円士郎はそれは全部じゃないって言っていて──
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