恋口の切りかた
試合を終えた後、
熱気の冷めやらぬ稽古場を離れて、
私は城の庭をのんびりと歩いて、大好きな桜の木をぼんやり見上げていた。
何だかちょっと疲れてしまった。
目の前がくらくらと揺れている気がする。
変だな。
本気の試合をしたとは言え、あのくらいでこんなに疲れたことはないのにな……。
私は首を捻って、
「留玖」と私を呼ぶ声がして振り返ると、円士郎が私を追いかけてこちらに歩いて来るところで──
「殿……」
私は愛しい人に駆け寄ろうとして、足を踏み出して──
その足が急にふらついた。
激しい眩暈に襲われて、吐き気までこみ上げて──
「留玖っ!?」
円士郎の叫び声を聞いて、
彼の腕に抱き留められるのを感じながら、私の意識はそこで途切れた。