恋口の切りかた
「え?」


「虹庵先生に診てもらったら、懐妊だってよ」


「……え?」


大きく目を瞬く私の手をぎゅっと握りしめて、


「お前は身ごもったんだよ、留玖。
俺とお前の子がここにいる」


円士郎は布団の上から私のお腹をそっとなでた。


「私とエンの……赤ちゃん……?」


突然の話に、私はびっくりして、

円士郎が握っているのとは逆の手を、布団の中でそろそろとお腹に持っていった。


「おう。冬馬たちの話をしてたのが縁起が良かったのかもな」


円士郎はそう言って、それからあきれたように苦笑した。


「お前、その体で俺と試合なんかして──流れずにすんで良かったぜ」
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