恋口の切りかた
「留玖」と私の名を呼んで、円士郎は私を抱きしめたまま、優しく髪をなでてくれた。


「俺の人生には親父や母上や冬馬がいて──まだお前が一番長く一緒にいる人間じゃねえけどよ。

でも、冬馬は別の家族を持ったし、
この先、親父や母上が歳を取って死んで、

それでも俺たちが一緒にいれば──俺にとってもお前は、人生で一番長く時間を共有した人間になる」


私はそんな言葉をくれる大切な人の手にそっと触れた。

私の手を、円士郎が力強く握りしめてくれる。


「ずっと一緒にいような、留玖」


日だまりの中で、円士郎が囁いた。




「俺はずっとお前のそばにいる」




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