恋口の切りかた
まねをするうちに、
一人でも木の棒を振るようになった。


一人で棒を振って

振って

振って──



どうしたらもっと速く、
もっと自在に、
振るえるんだろう。



そう思って、


またあの子の動きを見るようになった。


あの子をながめて

ながめて

ながめて──





そして



そして──……






「オウコラ、勝負だトウ丸!」


寺子屋の先にある神社の境内で、今日もまた背中からかけられた強気な声に、

おれは微笑んだ。


「今日こそテメェ、叩きのめしてやるぜ!」


ギラギラしたその声の方向を振り返って、


おやっと思った。

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