恋口の切りかた
桜の花びらが舞う中、見なれた少年が立っている。

自分とは違って小ぎれいな着物を着た子供だ。

でも髪の毛は自分と同じくらいぼさぼさで、
着物もあちこち汚したり破いたりしていて、
ついでにあちこち生傷だらけで、


鋭い目つきで獣みたいにこちらをにらみつけている。


今にもグルルル……とうなり声でも上げそうな少年だ。


そこまではいつもと同じだったのだが、

ただ一箇所が、昨日までと大きく異なっていた。


「あれ? きみ、それ……」
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